私は突然ポジションから降りてくれと言われたことが職業人生の中で二度あります。このような降格は、不本意なポジションで会社に残ることができるケースもありますが、会社の状況によっては、退職を促されたことに他ならないケースもあります。私は二度ともに転職を選び、更に飛躍の機会としました。しかしポジションがなくなる時の経験は、今考えても非常につらいです。しかしこのブログのたどり着いた人のために、一生懸命まとめてみます。

最初の経験: 大きなショックと戸惑いに包まれる

40代、50代になると「早期退職制度の募集をきっかけに転職を考える」ことも珍しくありません。また最近では企業の栄枯盛衰のサイクルが早くなり、戦略の変更や経営資源の集中による部門の縮小も頻繁に起こるようになりました。会社に対して大きな貢献をしたとしても、リストラの候補になることも珍しくありません。私もまったく想定していないようなかたちで会社を去ることになりました。

ある会社で部門長をしていたとき、長年務めていた社長が引退し、新しい社長がヘッドハンティングされやってきました。新社長は、前職では事業部長でしたが、転職で初めて社長になるということで、意気揚々と会社に乗り込んできて、組織変更を行っていきました。その一環で私が担当していた部門は分割され、他の部門に吸収され、私のポジションは無くなりました。その時の感情はうまく説明ができませんし、思い出したくもありません。ただ大きなショックと戸惑いの中、冷静にできることをやった自分も居ました。その時にやったことは

  1. 会社都合の組織変更なので、社内で新たなポジションを検討することを依頼
  2. 退職することになった場合、転職活動をする期間(Garden leave)の設定の依頼
  3. 転職活動の開始・実行

でした。

まず①新ポジションの検討について会社に相談しました。①の回答を待ち、結果良いポジションが無いとなった時、では②転職期間の設定を検討してくれという流れで依頼しましたので、別々に会社の回答を待つことで時間が経ち、結果的に③の期間を長く確保できました。
ただこの時の③転職活動はうまく行きませんでした。自分の素直な感情は、「訳が分からず会社から必要とされなくなった」と感じており、それが自信の無さとして映ってしまったのか、なかなか面接でうまく行きませんでした。結果的に肩書きにこだわらず(こだわることができず)に、同じ業界の別の会社に入社することになりました。

一方で退職した会社を外から見てみると、私のポジションを閉鎖した社長は早々に退職に追い込まれ、私の仕事を引き継いだ部門長も苦労をしていました。会社から必要とされなくなったのは大きなショックでしたが、会社に誠心誠意尽くしても、自分にはコントロールできないきっかけで不本意なことが起こることもあるし、また社長の判断が常に正しいわけではないと冷めた目を持つことができました。

二度目の経験: 堂々と静かに去る

二度目の退職は、私にとっては突然やってきました(本来もっと早くに気づくべきだったかも知れません)。新しい会社で順調に昇進し、社長にレポートする部門長になっていました。この時も一生懸命仕事をして、全体的にはうまく行っていると信じていたのですが、いくつかの点でパフォーマンスを発揮できないことを指摘され、社長から降格するか退職するか選ぶよう告げられました。色々と協議しましたが、結果として私はその会社を退職することにしました。

ただ退職も二度目ということでかなり冷静に状況を受け入れました。自分が厳しい状態にあるとしっかり認識していたら、転職活動を始めていたかもしれませんが、気づいていなかったため全く活動していませんでした。会社から降格か、退職かを選ぶよう言われたので、退職を選んだとき、有給休暇の消化と転職活動の期間給料をもらうことができました(Garden leave)。退職タイミングを自分で選ぶ(自分のタイミングで転職活動を開始する)メリットもありますが、会社から退職を促される場合、一定の配慮をしてくれるケースが多いこともあります。(配慮がないケースもあるので、会社の性質をよく観察しておくのも重要です)

そして前回の退職と大きく違ったのが、堂々と、そして静かに会社を去ったことです。いくら仕事にベストを尽くしていても、うまく行かないことの責任を取らなくてはならないことがあります。もちろん二度目の退職も相当落ち込みました。ただ一方で、どん底から這い上がり、社会や会社に貢献できる力が自分にはあり、新しい場所でやり直すことができるという確信が生まれていたのが大きな違いです。(再度経営層を任されたのは自信になりました)

外から華々しいキャリアに見えても実は違う

このブログでもIBMの元会長兼CEOであったルイス・ガースナーが、マッキンゼー2年目にメンターから「他に仕事を探すように」アドバイスをもらったことがあると紹介しました。(→ここ
スティーブ・ジョブスも自分が創業したアップルから追われたことがあるのは有名な話です。

あなたが誠心誠意尽くしてきた会社から不本意な扱いを受けているとしたら、大きなショック、怒り、戸惑いを感じているはずです。このような経験はたった一度でも体験しないほうが良いに決まっています。あなたが本当に苦しい状況でこのブログにたどり着いているとしたら、私が伝えたいのは、「いつかこの苦しい状況を客観的に過去の出来事として見ることができるときが来る」ということです。苦しいと思いますが、いつかまた陽は上るはずです。この文章があなたへの応援になることを期待しています。

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