同年代(アラフィフ)と話をすると、終身雇用が終焉を迎えつつあることを理解しつつも、個人としては転職という選択肢を頭に思い描いている印象を受けません。しかし一流企業に勤めていたとしても、りーマンショックや新型コロナの感染拡大、グローバル競争の激化などをきっかけとして、突如として会社でリストラが始まることがあります。また一流企業であればあるほど、役職定年などをきっかけに給料が大幅に減少することが決まっていることもあります。何度も転職し、また自分のポジションが無くなるという経験もした私が、自分のキャリアを考えることと、会社を辞めることもあると想定することの重要性についてまとめました。

終身雇用を信じられますか?

私が就職活動をした1990年代は、多くの人が終身雇用を信じることができた時代でした。
しかし1990年代後半以降、山一證券や北海道拓殖銀行等の破綻、ルノーによる日産への出資後の大胆なリストラ、最近ではトヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用の限界」について言及するなど、終身雇用を続けて行くことは困難というメッセージを受け取る機会が増えたました。一方で自分と同じ世代の友人と話をすると、どこか他人事で、自分の会社はまだ大丈夫、自分は一生今の会社で勤められると思っているように見えます。

これらに加えて、経営が安定している日本企業のトップに外国人や外資系企業からのヘッドハンティングが増えているのはご存知ですか?外部から経営者が招聘されるのが増加していることが意味するのは、内部昇進をした社長による既定路線を引き継いだ経営から、既定路線の否定を厭わない経営に切り替えている企業が増えていることを示唆しています。
外国人経営者の招聘では、古くは日産のカルロス・ゴーン社長、武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長、最近では三菱ケミカルホールディングスが2021年4月1日付でベルギー出身のジョンマーク・ギルソン氏が後任に就く人事を発表しています。また外資系企業のトップから日本企業へトップに就任した事例では、古くはベネッセの原田泳幸社長、(元マクドナルド)、そしてリクシルの藤森義明社長(元GE)カルビーの松本晃社長(元ジョンソン&ジョンソン)、最近では資生堂の魚谷雅彦社長(元コカ・コーラ)などが挙げられます。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への打撃も大きく、会社に雇用されている全ての人が、終身雇用の終焉に備え、自身のキャリア構築を見直すべき年になったのではないかと考えています。

転職活動には莫大なエネルギーが必要です

もし数か月後に、あなたの会社の社長が突然社外から招聘されることになったり、早期退職の募集を始めることになったらどうしますか?そもそも幸せなキャリア構築、そして転職活動には、入念な準備が欠かせません。私の経験から言って、少なくとも以下のことを準備する必要があります。

  • キャリアに関する自分軸の洗い出し(5年後、10年後、15年後、どんな仕事をしていたいのか?経済的にどうなっていたいのか?等を具体的に考える)
  • 自分軸に基づいたキャリア設計(仮説で十分)
  • キャリア設計に沿った仕事のリサーチ(自分が描いたキャリアに必要とされる能力や経験の把握)
  • 職務経歴書等の作成
  • 転職サイトへの登録や転職エージェントとの面談
  • 企業への応募、面接、内定の獲得

そして本当に転職活動が必要ではないときでも、キャリアについて考えてみると現職で働ける機会に対して感謝できたり、次のキャリアの準備として、現職の機会をいかに活かすべきかを考えられるという副次的な効果も期待できます。よくよく考えてみて、転職活動をすると決意し、行動し始めたら、作業としては、上記のステップを更に数サイクル回すことが必要になり、膨大な労力を必要とします。更にあなたが企業へ応募しても、即戦力として高い能力と豊富な経験を必要としている募集企業から、面接のお誘いが来ないという経験をするかも知れません。そして面接に進めたとしても、優秀な競合応募者の出現により、色よい返事をなかなかもらえないかも知れません。私の経験では、自分の能力や経験を否定されるような出来事を受け入れることに対して莫大なエネルギーが必要になりました。

転職筋を鍛えるには・・・

いきなり転職筋と言っても何のことか分からないですよね?日本市場における企業の変化は激しく、だれでもキャリアについて更に考えていく必要性が高まっています。その環境変化に個人が対応するための能力を、転職筋と名付けることにしました。
そして本題ですが、転職筋を鍛える一番の方法は、実戦が一番です。職務経歴書を作成し、エージェントや企業の面接官と実際に話をしてみると、自分の市場価値を知ることができます。市場価値はあなたがもらっている現職の年収ではなく、人材市場の競争にさらされた結果としてのあなたに付く値段です。その客観的な市場価値の把握から、あなたの転職筋強化の旅がスタートします。会社に雇われている多くの人にとって、自分でキャリアをコントロールしていくために、転職は益々身近なテーマになってきます。そして変化に対応していくためには、実戦の転職活動を開始してみることをおすすめします。

皆さんにとって転職活動を実際にしてみるということはハードルが高いかも知れません。でもそのハードルは何でしょうか?例えば転職活動をしているということは、誰しも知られたくないことですので、募集企業も絶対に情報を漏らさないように細心の注意を払っています。また転職活動の結果として内定が出ても、オファー内容を確認した後に、内定を辞退することも何ら問題はありません。実はあなたが転職活動に抱くそのハードルも、あなた自身が作りだしているかも知れないのです。

このような社会変化が起こっている中、転職筋を鍛えずに社会の変化の波に飲み込まれるか、少しでも早く転職筋を鍛えるため、そしてご自身でキャリアを切り開くために転職活動を行うかはあなたの決断にかかっています。

おすすめの記事