自分のキャリアを言語化するというのは非常に重要です。若い人から転職の相談を受けるとき、キャリアをストーリーで語ることができるようにとアドバイスをしてきたのですが、具体的な参考書の提案が必要だと思って探してきていました。そして私にとってベストと言える本に出会えたので、皆さんに紹介したいと思います。

「誰もが反対した日本マクドナルドへの転身」という序章から面白い

ご紹介したい本は、『マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術』(ダイヤモンド社)で、著者の足立光さんの略歴は以下のようになっています。

P&Gジャパン、シュワルツコフ ヘンケル社長·会長、ワールド執行役員などを経て、2015年から日本マクドナルドにて上級執行役員·マーケティング本部長としてV字回復をけん引。18年9月よりナイアンティック シニアディレクター プロダクトマーケティング(APAC)。I-neの社外取締役、スマートニュースのアドバイザーも兼任。著書に「圧倒的な成果を生み出す『劇薬』の仕事術」、共著に「世界的優良企業の実例に学ぶ『あなたの知らない』マーケティング大原則」。訳書に「P&Gウェイ」「マーケティング·ゲーム」など。オンラインサロン「無双塾」主催。

素晴らしい経歴で、このような人のキャリアの変遷は普通の人に参考にならないと思う人も多いかも知れません。足立さんのキャリアを真似しようと思っても、できるものではありません。しかし足立さんのキャリアの変遷に関するストーリーは、だれにでも参考になるのではないかと思っています。少し長いですが引用させて頂きます。

私が務めることになっていたマーケティング本部長は、入れ替わりが激しいポジションで、私は過去10年で9人目でした。これも、日本マクドナルドのOB達が、「(日本マクドナルドのマーケティング本部長は)やめたほうがいい」と強く言っていた要因でした。実際、普通の会社のマーケティング責任者と比較して、日本マクドナルドのマーケティング責任者の仕事の難易度がとてつもなく高いということは、すぐに理解しました。私がそのように考えた理由は3つあります。

まず1つ目は、日本マクドナルドのマーケティング部門には、圧倒的な仕事量があることです。一般的な会社、例えば消費財メーカーなどでは、大々的な新製品の発表やキャンペーンが行われるのは、せいぜい(春と秋の流通棚替えのタイミングに合わせた)半年に1回くらいでしょう。マーケティング部門は、この半年に一度の新製品のキャンペーンに向けて準備をすればいいのです。しかし、日本マクドナルドは、毎月3つ、4つ、多い時には5つとか6つという数の新製品キャンペーンがあります。次々に新しいキャンペーンが押し寄せてくるので、圧倒的な仕事量をこなさなくてはいけないのです。

2つ目は、、、、

この本の「はじめに」は、足立さんが日本マクドナルドのマーケティング本部長に就任するのを周囲の人が大反対したところから始まり、足立さんが理解した周囲が反対した理由を明快に説明が加えられます。3つの理由は①業務量が多い、②グローバル企業と日本企業のデュアルカルチャーを率いる必要がある、③規模が大きい、というものなのですが上記の①の説明を引用させてもらってお読み頂いて、その説明が生き生きしていることが分かって頂けるとうれしいです。

本文ではその後も一貫して、ご自身のキャリアの挑戦、挫折、困難の克服ををストーリーで語ってくれています。このストーリーの数々は、(上から目線ではなく)ご自身の目線で整理されており、例えば読者は足立さんの作ってくれたストーリーを活用して、自分の経験を当てはめ、書き換えれば、自分のものとして語れることができのではないかというほど、密度の濃い内容になっています。

キャリアの選択の変遷の説明が参考になる

本書の中で足立さんはキャリア選択の理由を3つの項目にまとめて説明しています。足立さんが説明している項目としては

  • 日本マクドナルドのマーケティング本部長という役職の難易度が高いのか
  • 何故最初の就職先としてP&Gを選択したか
  • 何故アパレル業界のワールドに転職したか
  • ・・・・

など本書の中で沢山説明がなされています。そして足立さんのキャリアの転機を追って、足立さんの3つの説明を自分のキャリアに当てはめて考えるだけでも、自分のキャリアを言語化する幅が広がります。

私が参考にすると

私自身本書を読みながら、自分のキャリアの転機をまとめました。このブログでも以前紹介したように(→ここ)、私は働いている会社が、会社を買う側になった経験がありますので、その経験を書いてみます。

私が勤務する企業は●●年に▲▲を買収しました。この経験で私は3つの大きなチャレンジに直面しました。

まず1つ目は、私の部門では圧倒的な仕事量をこなす必要がありました。通常の業務に加え、M&Aに関わる買収手続きの業務が加わりました。M&Aの前もスリムな組織で対応しており、チームは残業しながら仕事をこなしてくれていました。しかしM&A後は、通常の業務に加え、■■や◇◇、◆◆のようなプロジェクトが押し寄せてきて、圧倒的な仕事量をこなすことになりました。

2つ目は、M&A後の企業は2つの企業のカルチャーや仕組みが混在しました。最速で一つの企業になっていくためには、両者の違いや成り立ちを理解して、良いものがあれば買収側企業の仕組みを変えていくことも厭わず、変革をする必要がありました。

更に3つ目は急速に規模が拡大したことです。社員も売上も突然1.5倍になり、顧客も急速に増えました。会社としてのアクションの影響が急速に拡大しました。更に新型コロナ感染拡大も相まって、慎重に、しかし適切に意思決定を下す必要が高まりました。

足立さんのストーリーの構成を活用させてもらうと、絵が浮かんでくるようになると感じています。それは足立さんが書かれているストーリーは、マーケターらしく人の心を動かしているからだと思います。あなたも伝説のマーケターのストーリーテリングに触れることができる本で、自分のキャリアのストーリーを生き生きとさせてみませんか?参考になればうれしいです。

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